耳掃除はどのくらいの頻度ですればよいのですか?

これは診察で非常に多い質問の一つです。
耳垢の性質や、耳の形にもよるので一概には回答しづらいのですが、私は「基本的には耳掃除の必要は殆どありません」と回答しています。
通常、耳垢は自然に耳の外に排出されます。乾いた耳垢の場合、耳掃除の必要は殆ど無く、逆に耳掃除を行う事で、耳垢を奥に押し込んでしまったり、外耳道(耳のトンネル)にトラブルを起こしたりして、結果として治療が必要になるリスクの方が強いのです。外耳炎などの耳のトンネルの炎症は、耳掃除のし過ぎによるものがほとんどです。

耳掃除する場合は?

但し、湿った耳垢、代謝の早いお子様の場合、耳垢が溜まりやすくなるケースもあり、この様な場合は定期的な耳掃除が必要な事もあります。家庭で耳掃除される場合は、清潔な綿棒を用いて、目で見える部分をそっと拭う程度にして下さい。決して見えない耳の奥を触らないようにしましょう。耳垢の溜まりやすい場合は、定期的に当院で耳掃除する事をお勧め致します。耳垢の除去は、立派な医療行為として認められているのです。

プールと耳垢の関係

特に学校検診で、「耳垢(栓塞)」と言われてしまった場合は、必ず受診が必要です。
プールの際に汚れた耳垢があると、外耳炎の原因にもなりますし、耳垢が水を吸って、聞こえに影響が出てくる場合があります。

クリニックでの耳垢取りとは?

耳垢を完全に取り除くのは、実は耳鼻咽喉科でも難しい場合があります。
耳鼻咽喉科で除去する場合は、耳のトンネルや鼓膜を傷つけたりしないよう細心の注意を払います。顕微鏡で見ながら、小さい鉗子や細い吸引管を使って取り除きます。できるだけ耳内に触れず、耳垢だけ触れるようにして取るのがポイントです。硬い耳垢のときは軟らかくする耳垢水という薬液を耳の中に入れ(点耳)、ふやかしてから洗浄・吸引する方法(耳洗)で耳垢を除去する事もあります。なかなか耳からはがれない様なひどい耳垢栓塞の場合、数日にわたってゆっくりと時間をかけて除去する場合もあります。

耳垢の除去は医療行為です!

繰り返しになりますが、耳垢の除去は、立派な医療行為になります。
また、無理な耳掃除が原因でのトラブルを起こさないためにも、耳内の状態をきちんと耳鼻咽喉科で確認することが重要です。耳垢について不安な方は、遠慮無く当院にご相談下さい。