子どもの風邪は耳鼻科?小児科?
前回のコラムでは、耳鼻咽喉科は「耳」「鼻」「のど」の専門家であり、小児科=オールラウンダーであることをご説明しました。耳鼻科・小児科どちらを受診するのかは実際に難しい場合もありますが、今回は症状ごとに分けて考えていきます。
まずは症状で分けて考えましょう
39度を超えるような熱で、ぐったりしている、咳がひどい場合
髄膜炎や肺炎、気管支炎などが考えられますので、小児科のほうがよいでしょう。
39度を超える熱で、比較的元気、あまり咳はない場合
咽頭・扁桃腺の炎症、中耳炎が考えられますので、耳鼻科のほうが良いでしょう。
熱もあるが、鼻水もある場合
鼻づまりの症状がつらいと、寝苦しかったり、副鼻腔炎(蓄膿:ちくのう)による頭痛をおこすこともあるので耳鼻科へ。
解熱剤はどこでも揃えています。
のどの痛みの場合
咽頭・扁桃腺の炎症が考えられますので、耳鼻科の方が良いでしょう。
熱はないが、咳がひどい場合
気管支炎、肺炎、喘息が考えられますので、小児科・気管食道科の方が良いでしょう。
しかし小児科で治療を受けても改善しない場合は、鼻漏(鼻水が副鼻腔炎(蓄膿症)により)がのどに落ちて咳が出ていることがありますので、耳鼻科を受診して下さい。
喘息と思っていたが、のどに鼻水が落ちて咳がでているのを処置等で治すと咳も改善する場合もございます。
鼻水のひどい乳幼児は、
呼吸やミルクをのむ、食べることがつらそうですので、耳鼻科で鼻処置を受けられたほうがよいでしょう。小児科で治療を受け、耳鼻科で処置を受ける患者さんも多いです。
下痢・吐き気など消化器症状がある場合は、
小児科がよいでしょう。
お鼻の症状があるときは耳鼻科での吸引も大切な治療、両方受診する選択肢も
鼻水、鼻づまりなど、お鼻の症状があるときは、耳鼻科では必ずと言っていいほど鼻の吸引処置を行います。鼻をきれいにしてネブライザーで薬をつけるという治療は、薬を飲むことに比べ、体全体への影響は少ない割に、鼻やノドに対する治療効果は大きいので、特に子供さんには、お勧めしたい治療法です。風邪に伴って鼻水がある際は、耳鼻科の特徴を生かした吸入治療を上手に利用なさると早く楽になります。小児科のお薬と平行して耳鼻科で鼻の吸引・吸入処置を受けるというのも、是非試してみて下さい。
以上、風邪を引いた際の耳鼻科・小児科の選択についてご説明しました。
患者さんからすると、この判断は難しい場合もあります。実際の診療の場面で、当院から、小児科の治療が必要な場合に、小児科の受診を指示させて頂く場合があります。逆に小児科の先生から耳鼻科の治療が必要な場合に、当院をご紹介頂く事もあります。要は、地域医療の中では、小児科と耳鼻科が信頼関係を持ち、風通しのいい医療を行っていくことが、患者様にとって非常に大切だと考えております。